パンチェン・ラマ11世、仏教フォーラムでデビュー

2006年4月16日18時51分
【北京=藤野彰】中国当局チベット仏教の新指導者として育成中のパンチェン・ラマ11世(16)が、13日から16日まで浙江省で開かれた中国初の「世界仏教フォーラム」に出席、国際仏教界に“デビュー”した。
11世はインド亡命中のチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世の承認を受けていないが、中国側は既成事実の積み重ねによって11世の国際的認知を勝ち取っていく方針だ。
世界仏教フォーラムは中国仏教協会などが主催し、37か国・地域の仏教関係者ら約1200人が参加。中国側代表として劉延東・政治協商会議副主席(党統一戦線工作部長)が出席したことから事実上の官製行事。当局側は11世を各国仏教指導者と同席させることで、チベット仏教界の新たな「顔」であることをアピールした。
中国英字紙「チャイナ・デーリー」によると、11世は13日の開幕式で「中国社会は仏教信仰に良好な環境を提供してくれている」とあいさつし、政府の宗教政策を称賛。また、共産党の統一戦線政策に協力した先代の10世について「国家の統一と国民の団結に顕著な貢献があった」と述べ、自らも党の指導下で同じ道を歩む考えを表明した。
パンチェン・ラマチベット仏教界でダライ・ラマに次ぐ最高指導者。10世が1989年に死去した後、ダライ・ラマ側と中国側が別個に10世の「生まれ変わり」の子供を擁立したため、現在、2人のパンチェン・ラマが併存している。
中国当局の監視下にあると見られるダライ・ラマ側の11世は動静不明で、中国側11世だけが「正統」として活動しているが、ダライ・ラマのお墨付きがないため、宗教的権威を確立できるかどうか疑問視されている。
読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060416i111.htm